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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「美丘」(2010年)ー 2

5話から最終回まで視聴。

やっと二人で同棲生活をスタートしたものの、美丘(吉高由里子)は病気の症状である意識障害(物忘れ)のほか、ついに体にも痙攣や麻痺が出始め、5話以降、登場人物のほとんどが涙腺崩壊している状態が続き、観ているこちらはそうでもなくなってきた。それだけにより冷静に物語の進行と登場人物の心情や、俳優の演技に目がいってしまう。

 

頼りない、カッコいいのと優しいだけが取り柄に見えた太一(林遣都)は、病気が進むにつれて弱っていく美丘を支えるべく強くなっていく。それが表情だけでなく、遣都の体も大きくなってように見えた。お互いの愛が強いからこそ、全身で頼ってくる美丘を支えるための強い心、そして症状が進む度に不安に駆られ折れそうになる心。前半で吉岡の演技に押され気味と書いてしまったけれど、後半はほぼ遣都の繊細な演技を中心に展開していくと言っていい。

そして吉高も半ば自暴自棄で強がっていた女の子から、太一をはじめ周囲の愛に気づき、素直なそして意思とは別に弱っていく一人の人間を全身で表現。記憶があいまいになりしゃべり方も子どものように「太一くん、太一くん」と呼ぶ様は切なかった。

二人の演技が素晴らしすぎで、見終った翌朝もこのドラマのことが頭から離れなかったた。”恋人亡くなる系恋愛物語”というよりは、闘病や介護のシーンに現実を垣間見、美しいだけの話ではないこと、最後に伝えられる生きることへのメッセージ、ラストの清らかさと明るさ。

石田衣良の原作「美丘」が、きっと素晴らしいのだろうと思った。

一人の強い女性の愛と死を通した一人の心優しい青年の愛と成長。

3か月のドラマ撮影の中で、林遣都という俳優がその3か月で役の太一と共に成長したように見えた。そう見えたことも演技というならそれはすごいことだけれど、俳優さんて他人の人生を生きながら、それを肥やしに成長しているような気がして。と同時に本来の「自分」という「我」を削りながらやる仕事なのかもしれない、と大きな憧憬と共に私は彼らの作品を味わさせてもらっている。

ほとんど期待せずに見始めたのにとても良いドラマだった。林遣都の出演作品をいろいろ見ているが、おかげで自分ではすすんで見ない作品をたくさん見ることになっている。そしてありがたいことに出会えて良かったと思える作品が多い。

美丘 (角川文庫)